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「酵母エキス」も「たん白加水分解物」も「食塩」も使わない完全無添加だしができるまで|前田家の開発ストーリー

「酵母エキス」も「たん白加水分解物」も「食塩」も使わない完全無添加だしができるまで|前田家の開発ストーリー

「無添加」と書かれていても、「酵母エキス」や「たん白加水分解物」が入っていることがあります。

表示のルール上、「酵母エキス」や「たん白加水分解物」は食品添加物ではないためですね。

くわしくは、こちらの記事でご紹介しました。

▶ 無添加のだしに「酵母エキス」や「たん白加水分解物」が入っているのはなぜ? 原材料表示の読み方

では、「酵母エキス」や「たん白加水分解物」を使わずに、どうやってうま味を出すのか。
前田家がたどり着いた答えは、「ゆでない」ことでした。

機械探しから始まった開発の話と、その製法をご紹介します。

きっかけは、洋食と中華でした

日本には、鰹節や煮干しを使って家庭でだしをとる文化があります。
少し手間をかければ、だしの素を使わずに和食を作ることができますよね。

ところが洋食や中華となると、話が変わります。

添加物を使わずに出汁をとろうとすれば、生の素材をじっくり煮込むしかありません。
毎日のごはんづくりでこれを続けるのは、なかなか難しいことです。

もうひとつ、世の中に出ている「無添加だし」や「無添加コンソメ」「無添加中華だし」などを見比べたことも、きっかけでした。

材料からコトコト煮出してつくった、本当に自然のものだけでできたおだしが、なかなか見つからなかったのです。

和食のおだしのように、コンソメや中華だしを手軽にとれるようにしたい。
せっかく作るなら国産の食材だけを使って、「食塩」や「酵母エキス」「たん白加水分解物」のような自然でないものは加えずに作ろう。

そうして始まったのが、前田家の無添加プロジェクトでした。

開発でつまずいたところ

正直にお伝えすると、簡単ではありませんでした。
いちばん苦労したのは、味よりも「作る環境」だったのです。

-機械が見つからない

前田家のおだしは、ドラムドライヤーという機械で作っています。
2本のドラムで素材を押しつぶしながら、同時に乾かす機械です。

ところがこの機械、マッシュポテトなどには使われているものの、動物性の素材を乾かす用途ではほとんど使われていませんでした。
コストも効率も悪いからです。

使われなくなっていた機械を下取りして、修理するところから始めました。
青森にあった機械は思うように動かず、機械メーカーに送って直したこともありました。

さらに、機械を動かすにはボイラーとドラムドライヤーの両方を備えた工場が必要です。
この設備がそろっている食品工場が、なかなか見つかりませんでした。

設置場所を決めて試験製造にこぎつけるまでが、いちばん長い道のりでした。

-鶏の脂に苦労した

もうひとつの壁が、鶏の脂分でした。
脂が残っているとドラムドライヤーでうまく乾かず、製品になりません。

そこで、部位をひとつずつ試しました。
行き着いたのが、ささみと、皮を取り除いた胸肉です。

脂の少ない部位を選び、さらに皮と脂肪を包丁で取り除いてから使っています。

野菜も同じです。チキンコンソメに使う玉ねぎ、人参、キャベツ、セロリは、国産の素材で納得のいく味になるまで、配合を何度も調整しました。

「ゆでない」という答え

酵母エキスを使わずに、どうやってうま味を出すのか。
その答えが「ゆでない」ことでした。

鰹節や鶏節は、一度ゆでて(煮熟して)から乾燥させるのが一般的な作り方です。
ところが、この工程でうま味の成分は減っていきます。

鰹節の場合、うま味の中心であるイノシン酸は、煮る工程でおよそ1割が失われ、本枯節になるまでにおよそ3割が失われることが知られています。

鶏肉も成分が似ているので、同じように節にすればうま味が失われると考えられます。

節をつくる工程は、うま味を逃がす工程でもあるのですね。

前田家の製法には、このゆでる工程がありません。

皮と脂を取り除いた鶏肉を1〜5mmに細かくして、110〜135℃のドラムで押しつぶしながら、同時に乾かします。
熱がかかる時間は、長くても1分以内。

水分は10%以下まで下がるので、保存性も保てます。

熱がかかる時間が短いぶん、アミノ酸の変質が起こりにくく、自然のうまみ成分が残ります。
肉や野菜の繊維がつぶれているので、だしに成分が出やすいのも特徴です。

この製法は、特許を取得しています(特許第5978488号)。

数字で見ると

特許公報に載っている試験では、この製法で作った食材と、市販の鶏節3種類・花かつおを比べています。

  • うま味成分のグルタミン酸:市販品の3〜10倍

  • 甘み成分(トレオニン、セリン、グリシン、アラニン):市販品の3〜10倍

  • イノシン酸:市販品と同等以上

味についての試験もあります。

8名が5段階で評価し、柔らかさ・滑らかさ・噛み応え・飲み下し感の4項目を合計した点数(各項目40点満点)で、この製法の食材は97点と98点。
市販の鶏削り節や花かつおは65〜76点という結果でした。

素材そのものからこれだけのうま味が出るので、酵母エキスを加える必要がないのです。

毎日のお味噌汁やスープが、素材の味だけで満たされる。
そんなおだしを目指してきました。

▶ 無添加だしについて(解説と選び方)

毎日のお料理だからこそ、本当に体にやさしいものを届けたい。
前田家のそんな想いから生まれた無添加だしは、素材に向き合い、試行錯誤を重ねたからこそたどり着いた自慢の逸品です。

余計なものを一切加えず、素材本来の豊かなうま味がギュッと詰まったおだしで、今夜のスープやいつものお味噌汁をひと味もふた味も違ったものにしてみませんか?

前田家はこれからも、皆さまの「おいしくていいくらし」にそっと寄り添う食卓づくりをお手伝いしていきます。

 
この記事を書いた人

いいくらしとごはん
(運営:株式会社前田家)

福岡県北九州市の食品メーカー/通販ブランド。
国産原料にこだわった完全無添加のだしや、ドライフルーツ・ナッツ・おつまみなど幅広く販売しています。

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